連日の陽気で、見頃を迎えた桜。

桜は、予感から始まって・・蕾、開花、満開、散り始め・・と続き、

雨に濡れて美しく、夜になって、また格別に美しい。

その一連のショーを毎年、優雅に楽しませてくれます。

日本人の奥ゆかしい心の在り方は、

この繊細で儚い桜を愛でて、育まれたようにさえ思います。

私たちは、幼い時から毎春、年を重ねては、桜を心に映していくのですもの。

 

 

サクラは、バラ科モモ亜科スモモ属の花です。

サクラの繊細な微香は、「静かに五感で聴く」に相応しい芳香。

桜餅や、さくら茶などでは、その「葉っぽさ」をしっかりと感じられますが、

この香りの特徴成分となるのが、「クマリン」で、葉を塩漬けする工程によって、

はじめて独特な芳香が生まれます。

 

私たちは、桜餅やさくら茶から「桜らしい」香りを認識しているものの、

実は、桜自体には、このクマリンは存在せず、

「クマリン配糖体」という形で内包され、芳香は持ちません。

クマリンは、抗酸化物質であるポリフェノールの1種で、

セリ科、ミカン科、マメ科の植物に含まれ、

抗菌、抗血液凝固、浮腫み防止、若返り作用があります。

 

クマリン・・・?

アロマの知識がある方は、「クマリン」と聞くと・・・

第一に柑橘類の精油に、クマリンが含まれていることは、ご存知のはず。

クマリンには、光毒性があり、紫外線に当たると、

日焼けを促進させ、シミを作る可能性があるため、

柑橘精油の日中の使用には注意が必要なのです。

(柑橘精油を使用した後は、12時間は、

肌が直射日光に当たらない様に気をつけましょう。)

美肌に大切なので、補足すると、同じく、

クマリンが含まれる食物を摂取してから強い日差しを浴びるのは、控えましょう。

(クマリンが含有されるもの:

柑橘類、パセリ、セロリ、ニンジン、

アールグレーティ(ベルガモットで香りづけされています)など)

クマリンには、有効な作用がある一方、肝臓の機能を弱める可能性があるともされ、

日本やアメリカでは、食品への香料としての添加を禁止しています。

 

つづいて、桜の香りの成分には、薔薇に含まれるフェニルエチルアルコール、

杏仁豆腐の香りの「ベンズアルデヒド」、

アニスの香りの「アニスアルデヒド」などが含まれています。

桜から、杏仁の香りやアニス(八角)の香り、薔薇の香りは感じられるでしょうか?

改めて香ってみて下さい。

 

また、桜のスピリットは、

あなたの心に何か囁きますか?

目を閉じて、耳を澄ましてみましょう。

あなたには、あなただけのメッセージが聴こえてくるはず。

 

私は、桜から大好きだった祖母の愛を想起します。

慎ましやかで、優しさを惜しみなく、与えてくれた美しいひと。

桜は、いつでも私に優しさを囁き、憧れを今に生かすことを教えてくれます。

桜の花言葉「精神の美」にぴったり。

 

さて、さくらの和精油はあるのですが、大変珍しく高価です。

アロ魔女は、まだ試香したしたことがないため、購入には至っていません。

機会があったら、試香してみたいと思います。

 

アロ魔女の引き出しには・・・

トンカビーンズという、「桜餅の香り」とよく喩えられる精油があります。

こちらは、SubRosaのトンカビーンのエッセンス。ブラジル産です。

トンカビーンは、「クマル」と呼ばれる熱帯アメリカ原産の

マメ科の樹木の種子から採れる香料で、

豆を乾燥させることによってクマリンを生成させ、芳香を生み出します。

そう、桜餅と同じ芳香成分です!

成分名:クマリンとは、この樹木の名:「Kumaru:クマル」に由来しています。

Dipterix odorata Willd

原住民が、密林を這って探す貴重な香料で、香料業界では、非常に人気があり、

香水にはなくてはならない存在です。

そのため、クマリンの合成香料が頻繁に使われています。

精油は、ボトルを開けると、以下のように、ねっとりとした塊となっていて、

これをアルコールで溶かしてから、調合していきます。

 

Tonka・アブソリュートは、トップには、

ほんのり桜餅の芳香の雰囲気があり、ヴァニラのような甘さとビターさ、

そしてアーモンド様の香ばしさが感じれます。

まさに、あのフランスの洋菓子「クレムブリュレ」の香りづけに使用されています☆

 

ヴァニラが好きな方で、個性的な甘さを加えたい時は、BIYAKUの調合に

ほんのわずか少量を隠し味で入れる時があります。

マメ科とあっては・・・媚薬要素もあり、アニマリックな官能性も秘めて、

少しスパイシーでオリエンタルなBIYAKUに仕上がります♡

 

トンカで、桜の香りの再現は、出来るのでしょうか・・・?

 

桜はやっぱり、生花の香り以上のものはないかな・・と思ってしまいますが、

いつか、挑戦してみよう。

 

 

慌ただしい夕暮れ時、街中でも、急ぎ足を止めて、

桜を見上げるスーツ姿に出会いました。

花を愛でるひとも、また、美しい。

なんだかほっと・・・心は、桜色に。

SAKURAは、わたし達の大和魂。

大切にしよう☆