なんともしなやかで、限りなく優美

見る者の心を虜にする意味ありげなまなざし

官能を刺激する物憂げな振る舞い

すべすべのまばゆいばかりの肌

しなやかな肢体

聞くものの心を魅了する耳に心地よい声

とらえどころのない妖しい魅力の持ち主

その名は、ジョゼフィーヌ

ジュセフィーヌNO..

ジョゼフィーヌ ド ボアルネ

彼女はフランス皇后であり、英雄ナポレオン.ボナパルトの妻のひとり

2度目の結婚後、自由奔放な恋愛を重ね、彼女を激しく愛する夫ナポレオンを悩ませ、

非常に浪費家であったゆえに、悪妻の名もあります。

一方で、彼女は誰に対しても、気持ちよく接し、寛大な心を示し、眼差しには、人の良さ

が溢れ、話しぶりにも声にもそれがあらわれていたという。

また、大変お洒落で、自分の魅せ方を良く心得ていて、歯並びの悪い欠点を隠すため、

口をつぐんだまま微笑むように心がけ、しゃべる時は、口を大きく開けず、

こもるような声で話し、

それが、また彼女の魅力を増すことになったのだとか。

彼女は、決して絶世の美女として、賞賛されるようなことはなく、

絵画だけでは、その魅力はわかりにくい。

けれども、その絶賛される文体から、世のあらゆる男性の心を捕えて離さないのは、

そこに、容姿だけではない、表現しきれない魅力があるようです。

そして、彼女の魅力を支える妖艶な香りがありました。

それは、ムスク。

ムスクは、アラビア語からくる言葉で、

「睾丸」を意味しますが、実際には、香嚢のことで、

中央アジア、チベット、中国に生息する、麝香鹿(雄)の香嚢から出る、赤褐色の分泌物

です。

これは、雄の麝香鹿が、交尾期に雌を引き付ける目的で、匂い付けを行うために出る分泌

物。この匂いは、数キロ先までいる雌を引き寄せると言われています。

麝香は、何百年も前からインド、中国、ペルシアでは知られており、大変高価な物で、手

に入れる事は困難です。

この動物性香料を得るのには、実際には麝香鹿を殺さずに採取できるそうですが、

残念ながら、殺されてきて、今では、絶滅の危機の瀕しています。

今、現在では、人工香料が代用品となっています。

独特の獣の香りと、糞のような不快臭が強烈で、そのままでは、決して嗅ぐこと事が

できず、希釈された状態で初めて、良さが出てくると言われています。

天然のムスクは、非常に陶酔させ、頭をぼーっとさせてしまう麻薬のような要素がある

ようです。

香水に加えられると、色気を引出し、怪しい媚薬となります。

男を惑わす道具として使用された動物性の香りは、ジョゼフィーヌだけでなく、

クレオパトラ、楊貴妃などにも愛用されていました。

ナポレオンと離縁する時には、ジョゼフィーヌは「自分を忘れないように・・・」と、マルメゾ

ン城の寝室に、この麝香の香りを振りまき、

その香りは、何十年もの間、消えることが無かったと言われています。

ナポレオンは、動物性の香りよりも、フレッシュなオーデコロンを好んでいたため、

不仲の原因が香りの相性が悪かったため?だと言い伝えられていますが、

実際には、ナポレオンにとって生涯、誰よりも愛し、忘れられない女性が

ジョセフィーヌであったことには、疑う余地がありません。

また、彼の黄金期を支えたのは、彼女への熱烈な愛があってこそ。

遠征地から、ナポレオンがジョゼフィーヌに送った多数の熱いラブレターは、読み手

が、ドキドキ赤面してしまうほど。

きっと、ジョゼフィーヌ自身からは、美しい香気が漂い、ナポレオンを愛の虜にしたの

だと、私は考えます。

さて、アロ魔女の引出しには、動物性香料は入りません!

伝説の美女達の香りが、どんな怪しい香りによってつくり出されたのかは、

禁断の鍵のように、大変興味のあるものではありますが...。

でも、アロ魔女の引出しにもとっておきの香りがあるのです!

植物の世界にも、素晴らしいムスクがあるのをご存じ?

本日、ジョゼフィーヌの魔法

主役はムスクシード

アンブレッタ

Ambretta(アンブレッタ)

アンブレッタは、アオイ科の種子から抽出される精油です。別名 ムスクシード。

アロマテラピーの精油としては、とても珍しいものですが、香料業界では動物性香料のム

スクの香りの代用として使用されています。香りはきつくなく、ほのか甘さの中に粉っぽ

さがあり、高貴でありながらセクシーな個性的な香りです。

一度香ったら、虜になってしまいます。上記の動物性ムスクの香りのように、強烈では全

くありませんが、香りの保留剤にも使え、香りの全体を大変豊かにしてくれます。

心を開放させ、穏やかな催淫作用があります。

ストレスホルモンを分泌している副腎皮質に対して強力な作用があり、また、ステロイド

剤の解毒を行う場合の吸入剤として使用される事もあります

(エッセンシャルオイル&ハーブウォーター375参照)

また、女性ホルモンの分泌を促すため、ホルモンバランスが崩れている時、有効です。

さらに、お肌を保湿し、乾燥を防ぎます。

単品での使用より、ブレンドする事で、全体の香りのバランスが良くしてくれます。

ホルモンのバランスを整え、お肌を美しくして、誘惑の香りを仕立てあげてくれる

ムスクシードは、植物界のBIYAKUの王様として、素晴らしい演出をしてくれます。

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Rose(ローズ)

☆ローズはバラ科の花から採れる精油で、最も長い歴史のある香りの一つです。

それは、言うまでもなく、この花の姿、形、そして芳しい香りが人々を魅了してきたからです。

「薔薇のパトロン」とも称されたのが、ジョゼフィーヌです。

そもそも、彼女はマリー.ジョゼフ・ローズ・タシェ・ド・ラ・パジュリという名で生まれ、

ナポレオンにジョゼフィーヌと呼ばれるまでは、「ローズ」という愛称でよばれていたの

だとか。

大変な浪費家と言われるジョゼフィーヌですが、、彼女のおかげで、薔薇の歴史は大きく

変わりました。

彼女は、薔薇を大変愛し、世界中からバラの収集を行い、彼女のためにマルメゾンの別

荘では250種以上の薔薇が栽培されました。

そして、後世の人々のためにと、集めたバラを植物画家ルドゥーテに描かせたのです。

遺していくものも、豪華で美しいジョゼフィーヌの心が伝わります。

さて、最も高品質なローズ(ローズオットー)の精油は、ブルガリアで生産されていま

す。まるで、蜂蜜のように甘く陶酔させるその香りは、古代より神と結びつけられてきた

ことがよく理解できるほど、華やかな香りの中に高次なるものと繋がる感覚を得ます。

この香りは脳に刺激を与え幸福感のもとと呼ばれる快楽物質ドーパミンが放出されます。

最も高価な精油ですが、その価値は計りしれません。

ローズの素晴らしさは、どれだけ書き連ねても足りないほどの万能薬なのです。

それは、300種類以上の成分から成り立ち、未だに解明されていない15%程の成分に

魅惑の秘密が隠されているように思います。

どんなにローズの香りにまねて合成物を作ったとしても、それは、本物のローズの精油と

は異なるものとなります。

植物の中で生産される全てが人間の手ではかなわない、作る事のできない完璧なバランス

を保っている事を知らされます。まさに、神秘的です。

ローズは、体を冷やし、鎮静させ、強壮にし、心臓、肝機能、生殖器、心の病にとても有

効です。

ホルモンのバランスをとり、月経周期を安定させ、また子宮を強壮にします。

PMSや更年期障害に最も良い精油と言えるでしょう。

子供が欲しいカップルに有益で、男性性器にも働きかけ、精子の量を増やします。

媚薬の精油としても有名で、自分に自信を持たせ、相手に心を委ねられるようにしてくれます。

また、スキンケアでは、あらゆる肌質に合い、最もなりたい肌に近づけてくれる力を秘め

ています。皮膚下の毛細血管を強くし、引き締めます。

乾燥肌、老化肌、敏感肌に素晴らしく、最もお肌を美しくしてくれると、アロ魔女は信じ

ています。

ギリシアの愛と、美、豊穣の女神アフロディーテに捧げられたローズは「愛と清純さ」の

象徴です。

あらゆる心のトラブル、悲嘆、嫉妬、妬み、ストレスを和らげ、自己受容し、失われた自

信を取り戻させるように導いてくれます。

ジョゼフィーヌが、後生、真摯にナポレオンを愛するようになり、また、辛い離縁の

後、薔薇に力を注ぐようになるまで、薔薇はどんな風にして彼女を支えてきたのでしょう

か?

薔薇は、女性の人生を通して、美しく成長させてくれる素晴らしい花だと思います。

幸せいっぱいの時も、悲嘆にくれる絶望の時も、ローズは万能の力で、わたし達を支えて

くれます。

あなたの人生に、薔薇は、どんなタイミングで、どんなエピソードを作り出してくれるの

でしょうか?

チュベローズ

☆チュベローズTUBEROSE

チュべローズはヒガンバナ科の花をアンフルラージュ法によるアブソリュートで抽出されます。

もっとも高価な精油のひとつです。

強く、濃厚なフローラルな香りの中に、土様の、つかみどころのない独特な香りがします。

「月下香」という名のとおり、夜に花が開き、強く香ります。

主な作用は、催眠作用と催淫作用で、とても官能的な精油です。

気分を高揚し、閉ざされた感情を解放していく働きがあります。

数滴で、ぽーっと火照るような感覚になり、至福で満たされます。

いわゆる豪華な花の香りとは異なり、ほんのり土っぽい、マイルドな豆のようで、少しむ

っとする香りを残します。

性欲を刺激する成分を含むため「危険な遊び」という名ももちます

もっとも、媚薬としての働きのある精油の一つといえます。

単品で使用するより、華やかなローズやネロり、そして、土様のサンダルウッド、パチュ

リなどと組み合わせる事により、香り全体を盛り上げ、官能的な媚薬が出来上がります。

人を惑わせ狂わせるような、官能性を、吹き込むような、ミステリアスな香りです。

大変、高価ですが、その希少価値はあなたの官能性を刺激し、誰かを釘づけにする美を演

出してくれるかもしれません。

ホホバオイル 20ml

アンブレットシード 1滴

ローズ 2滴

クラリセージ 1滴

チュベローズ1滴

ホホバオイルに、上記精油を混ぜ、入浴後のボディに塗布していきます。香りは大変濃厚ですので、オイルが足りない場合は、ホホバを手にとり薄めて伸ばして下さい。

体温の上がった浴後の肌に、たいへん馴染み、美しい芳香にうっとりすることでしょう。

乾燥する冬の季節、大変贅沢ですが、時には、ジョゼフィーヌのように豪快に香りに身をゆだねるのはいかが?

美しさはどのようにして、つくり出され、唯一のものとなり、伝説となっていくのか!

そして、誰かを永遠の愛の虜としてしまう魅力を放つのか?

伝説の美女には、必ず香りがつきもの。

高貴な香り、妖艶な香り、それらは、わたし達と交じりあい、自信や気高さ、そして立

ち居振る舞いへと影響を及ぼします。

そこに、誰もが、持っている容姿以上の美を引き出してくれる香りの魔法があるのだと

信じ、計り知れないロマンスにかけてみたくなります。

まるで、とらえどころのない色香を放つ魅惑の女性ジョゼフィーヌのように・・・

2010-12-09 10.47.48

幾千ものやさしい熱い口づけを送る

ナポレオン

参照書籍  「恋するジョゼフィーヌ」      「香りをたずねて」